イギリス大学進学 – 医学部

イギリス大学進学 – 医学部

 

イギリスの医学教育: その魅力とは 

世界トップクラスの教育水準

英国大学の医学部は長い歴史と最先端の教育システムを誇り、世界中で高く評価される医学教育を提供しています。

 

イギリスの医学部は常に世界医学部ランキングで上位に位置し、質の高い研究、教育、臨床トレーニングが行われています。オックスフォード大学ケンブリッジ大学、UCLやインペリアルカレッジロンドンなど名門大学が多く、国際的に高く評価されています。 

 

 

国際的に認められる医療資格

イギリスの医学部で取得した医療資格(MBBS/MBChB)は、英語圏を中心に多くの国で認められています。これにより卒業生は様々な国で医師として働くことが可能となり、オーストラリアやドバイなどで活躍する医師も多くいます。 

 

 

豊富な臨床経験と実践的な教育

イギリスの医学部では基礎医学と臨床医学を統合したカリキュラムを提供しています。多くの大学がPBL(問題解決型学習)を取り入れ、生徒は課題に取り組みながら自主的に学び、問題解決能力を養います。

患者とのコミュニケーションスキルや科学的思考、診断能力も重視されており、患者の満足度が高い医療を提供できる医師の育成を行っています。 

また、早い段階から臨床現場で学ぶことを重視しています。生徒は実際の患者と接する機会が多く、採血など、卒業時には即戦力となるスキルを身につけることができます。 

 

 

世界的に評価されるNHSシステム 

NHS(国民保健サービス)は1948年に設立され、質の高い医療サービスを無料で提供しています。イギリスではすべての住民が平等に質の高い医療を受けることができ、医療の公平性が世界的に評価されています。 

 

 

イギリス大学医学部の入試&出願プロセス

UCASからの大学出願


UCASという全国統一の受験システムを通じて成績やPersonal Statement(パーソナルステイトメント)*を提出します。各大学で選考基準は異なり、自身のスキルに合った大学を選ぶことが重要です。 

 

UCASのウェブサイトに登録し、必要な情報を入力します。最終成績が出ていなくても、Predicted Grades(予測の成績)を提出することができます。医学部以外の学部では5校に出願することができますが、医学部の受験は最大4校までとなっています。そのため、ほとんどの方が滑り止めとしてもう一つ、Biomedical Sciences(バイオメディカルサイエンス)などの医学関連の理系学部にも出願をします。

 

医学部に限らず、オックスフォード大学とケンブリッジ大学への出願んはどちらか一方のみとなります。一次選考通過や面接の招待などの連絡を含め、書類提出後はUCASに登録したメールアドレスに連絡がきます。 

 

*Personal Statement=志望動機書

 

UCASについてはこちらの動画で詳しく解説しています!

【海外大学進学】イギリスに大学留学する方法 & UCASについて徹底解説!!

 

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Personal statement: 職業経験と課外活動


Personal statementでは医学部特有の必要事項が数々あります。これらは実際に入学条件として重要視されており、面接で必ず聞かれるので押さえておきたいポイントです。

 

まず、NHS憲章の理念や価値観への理解とそれに基づく行動が重要視されます。患者中心のケア、平等、尊重といったNHSの価値観に共感し、それらを実践した具体的な経験を示すことが期待されています。また、医師を目指す明確な動機や、医師という職業の理解を伝えることも重要です。例えば、医師としての役割や責任を正確に理解し、それに基づいた目標や意欲を述べることが求められます。 

 

さらに、地域社会への貢献を通じて、医療への熱意や人々への関心をアピールすることが推奨されます。ボランティア活動や地域社会での支援活動を通じて得た経験は、personal statementにおける大きな強みとなります。 リーダーシップやチームワークのスキルを具体的なエピソードを交えて示すことも重要です。リーダーとしてプロジェクトを成功させた経験や、チームで協力しながら目標を達成した実績を通じて、協働性や責任感をアピールすることができます。 

 

最後に、課外活動を通じて学問以外の興味や趣味を示し、多面的でバランスの取れた人間性を伝えることが期待されています。スポーツ、音楽、アートなどの活動は、個性や柔軟性をアピールする良い機会です。  

 

 

入学要件: 成績、適性試験など


高校の成績

A-level(Aレベル)やIB(国際バカロレア)を修了した生徒、またはそれに値する海外の高校課程を修了した生徒の受験が可能です。

 

A-levelの場合

成績基準: 通常AAAまたはA*AA以上が必要とされます。 

必須科目: Chemistry (化学)はほとんどの大学で必須。Biology (生物)、Physics (物理)、Maths (数学)のうち1科目以上を追加で求められることが多いです。 

 

IBの場合

成績基準: 合計スコア36~39点以上(HL科目で6または7を取得)。 

必須科目: Chemistry (化学)とBiology (生物)が必須。

 

 

入学適性検査試験(UCAT/BMAT)

UCAT(University Clinical Aptitude Test)と呼ばれる医学部受験用の適性試験を受ける必要があります。

※BMAT(Biomedical Admissions Test)は2024年度から廃止されました。

  

UCATはVerbal Reasoning(言語的推論)、Abstract Reasoning(抽象的推論)、Quantitative Reasoning(定量的推論)、Decision Making(意思決定)、Situational Judgement(状況判断)の5つのセクションで構成されています。これらの問題は、長文の英語文章を読み解いて答えを導き出すものや、2セットの図形の中から、指定された図形がどちらのセットに属するかを選択する問題、さらに数学的な問題も含まれています。 

 

この試験は、医師として必要とされる様々なスキルを測定することを目的としており、倫理的な判断を求められる問題も多く出題されます。試験における最も困難な点は時間制限で、各問題に対して1分以内、場合によっては30秒以内に解答しなくてはならない点です。この時間的制約が、迅速かつ正確な判断力を試す重要な要素となっています。 

 

 

インタビュー(面接)

ほとんどの大学では面接が必須となっており、医師になりたい理由や過去にどのような努力をしてきたか、チームワークやリーダーシップ経験などが問われます。 

 

形式としては以下が一般的です:

  • MMI(Multiple Mini Interviews): 複数の短い面接を通して様々なスキルを評価 
  • Panel Interview: 面接官数名との質疑応答 

 

大学により形式は異なりますが、主になぜ医師になりたいのか、そのためにどのような努力をしてきたのか(勉強面だけでないもの)、論理的な質問(例: タバコを吸っている人たちの治療はなぜするべきなのか、優先順位はどう決めるのかなど)、グループワークの経験、リーダーシップを取った経験、さらに自身の弱みや強みなどを尋ねられます。特にMMIではシナリオ型の質問もあります。 

 

 

大学選びのポイントと学費

大学選びで考慮すべきポイント


  1. 地域
    大都市や地方都市、地域によって生活費や学習環境が異なるため、自分に合った環境を選ぶことが重要です。 
  1. 教育スタイル
    オックスフォード大学、ケンブリッジ大学に代表される講義中心のスタイルまたは、PBL(問題解決型学習)スタイルで分けられます。多くの大学ではこの2つの混合型を採用しており、自分の学習スタイルに合った方法を選ぶことをお勧めします。 
  1. コースの年数
    5年制や6年制、Intercalation(1年間の休学・別分野の学問を学ぶ期間)の有無など、自分のキャリアプランに合ったプログラムを選びましょう。大学の学位を既に取得した生徒を対象にしたGraduate Entry Medicine(GEM)プログラムもあります。このプログラムは通常4年間のコースで、医学部に進学するための基礎的な学位を持っている生徒を対象としています。 
  1. 人気の大学
    オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、UCL、インペリアルカレッジロンドンなどの名門大学は、研究や教育の質で高い評価を受けているため、競争率も非常に高いです。 

 

 

留学生枠と学費


イギリスの医学部の留学生枠は大学や年度によって異なりますが、一般的に全体の7.5%程度です。

学費は年間約£30,000〜£60,000(約580万円〜1,100万円)が相場で、ロンドン市内やオックスフォード大学やケンブリッジ大学などの名門大学では学費が高くなる傾向があります(2025年現在: 約£70,000(約1,300万円))。

 

 

Pre-Medicineコース(医学部進学準備コース)

イギリスの大学で医学部に入るには上記の要件が必要ですが、日本や多くの国では高校卒業時点でそれらの要件を満たしていない場合が多いです。そのような海外で高校相当の教育を受けた学生がイギリスの大学での医学部進学をサポートするため、プレメディスンコースを提供する大学があります。

 

このプレメディスンコースは多くの場合1年間のコースで、生物や化学から数学、英語などの授業を提供しています。コースを無事修了すると、通常のイギリス医学部進学の要件を満たすことができます。イギリス国外の高校(相当)を卒業した学生を対象とするプレメディスンコースを提供している大学を幾つか紹介します。

 

また、NCUK(英国大学連盟)*のように、イギリスの大学へ進学するためのファウンデーションコースを提供する大学以外の教育機関もあります。

 

* NCUKはイギリスの大学が共同で設立した大学進学準備や大学院進学準備の機関で、様々なファウンデーションコースを提供しています

 

 

1. St Andrews International Foundation Programme: Pre-Medicine Course(セント・アンドリュース大学)

3つのプレメディスンコースを提供しており、生徒の高校資格レベルに応じて学習期間の選択が可能です。

入学条件

  • 必須科目: Chemistry (化学)、その他にBiology (生物), Mathematics (数学), Physics (物理)のいずれかを含む2科目以上 
  • 高校卒業資格取得から3年以内であること

 

入学条件(日本の高校生向け)

  • 高等学校卒業証明書(Senior 3)
  • 成績: 5段階中平均4.2 または10段階中平均7.5 以上
  • Chemistry (化学)および他の1科目において5段階中4.2または10段階中7.5 以上

 

Medical Sciences (International Pre-Med) - Subjects - University of St Andrews

 

 

2. University of Central Lancashire: Medicine with Foundation Year(セントラル・ランカシャー大学)

NCUK(英国大学連盟)との提携プログラムです。

入学条件

  • 必須科目: Chemistry (化学)とBiology (生物)
  • 高等学校卒業証明書を提出
  • 認定された海外の大学(日本含む)で少なくとも1年間の学士課程を修了し、イギリスのUpper Second Class(2:1)相当*の成績を取得 
  • 英語要件: IELTS6.5(各セクション6.0以上)

 

   *英国大学の2:1を他の評価基準と換算した場合:

4.0スケール(GPAを使用する大学): GPA3.0– 3.49(またはそれ以上) 

100点満点スケール: 70-79%

5段階評価: 3.5-4.4

 

https://www.uclan.ac.uk/undergraduate/courses/medicine-mbbs-foundation

 

 

3. NCUKのInternational Foundation Year

NCUKが提供するInternational Foundation Year(インターナショナルファウンデーションイヤー)は、日本を含む外国人留学生向けの医学部進学準備プログラムです。イギリスだけでなく、オーストラリアやニュージーランドの医学部への進学も可能です。

入学条件(日本の高校生向け)

  • 高等学校2年(Senior High 2)修了: 平均成績70%以上 
  • 高等学校3年(Senior High 3)修了: 平均成績60%以上
  • 英語要件: IELTS 5.0(各セクション5.0以上)

 

https://www.ncuk.ac.uk/ncuk-programmes/international-foundation-year

 

 

このファウンデーションコース修了後に進学できる英国大学にはUniversity of Bristol(ブリストル大学)があり、以下の条件を満たす生徒が医学部に入学することができます:

  • 成績: AAA
  • English for Academic Purposes moduleでGrade A*
  • UCATで合格点
  • Occupational Health Check(労働健康診断)とinterview(面接)に合格
  • Work experience(職業体験)が推奨される
  • 18歳以上

 

Study Medicine or Dentistry at University of Bristol - NCUK

 

 

卒業後の進路•キャリアパス

医学部を卒業後、自動的に研修医1年目(Foundation Year1)と2年目(Foundation Year2)の病院が割り当てられます。1年目(FY1)は医師仮免許を持って臨床に従事し、いくつかの制限(例えば退院決定権がない、オピオイドの処方ができないなど)はありますが、基本的には臨床医師として他の医師と同じように働きます。

 

研修は4ヶ月ごとに異なる診療科目をローテーションし、1年目を終えるとイギリスの正式な医師免許がGMC(General Medical Council)から交付されます。この期間中は、e-portfolio(電子ポートフォリオ)を用いて先輩医師などから評価を受け、必要な時間数のティーチング(先輩医師による学習セッション)にも出席することが求められます。 

 

2年目が終了すると「Foundation Year修了証明書」が交付され、研修医としての教育が完了します。ここからはSpecialty Training(専門医研修)プログラムに進むことや、Clinical Fellow(クリニカルフェロー)として病院でローテーションを続けることが可能となります。 専門医研修の期間は専門分野によって異なり、例えばGP(診療医)では3年、脳神経外科などでは研修医終了後に8年ほどの期間がかかります。 

 

また、イギリスでの研修を終えた後、特定の国では現地の国家試験が免除され、医師免許を取得することができます。特にオーストラリアやニュージーランドはイギリスの医師が最も簡単に移住できる国として非常に人気があります。各国の医師免許取得に必要な条件や書類の詳細は現地の厚生労働省などに確認することをお勧めします。残念ながら、日本では医師国家試験が免除されない上、大学側の提供可能な書類と一致しない場合もあるため、受験に際する必要書類の準備も簡単ではありません。  

 

 


 

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