オックスフォード大学の有名学部は?PPEやカレッジ制など特徴を紹介
イギリスのオックスフォード大学(University of Oxford)と言えば、世界ランキングのトップ常連として名高い、そして何世紀にもわたる長い歴史を持つ名門大学です。4つの専門領域にわたる多様な学部では、世界中から集まる優秀な学生たちが学んでいます。オックスフォード大学は、英語圏で最も古い大学として知られ、長い歴史と最先端の研究・教育をあわせ持つ大学として、世界中の学生の憧れとなっています。
この記事では、オックスフォード大学の特徴や世界ランキング、有名な学部・PPE、カレッジ制度、入学条件、学費・奨学金まで、進学を検討している方に向けてわかりやすく解説します。
オックスフォード大学の概要
オックスフォード大学の正確な創立年は明らかになっていませんが、1096年にはすでに授業が行われていた記録があり、900年以上の長い歴史があります。オックスフォード大学と肩を並べるもう一つの名門大学はケンブリッジ大学ですが、両大学をセットにした、「Oxbridge(オックスブリッジ)」という呼び名があります。
オックスフォード大学を象徴する施設の一つがBodleian Library(ボドリアン図書館)で、学生や教職員からはBodley(ボドリー)やBod(ボッド)の愛称で親しまれています。17世紀初頭に現在の図書館として開館した歴史ある図書館で、イギリス国立図書館・British Library(大英図書館)に次ぐ規模です。

ロケーション

オックスフォード大学は、イングランド南東部のオックスフォード市中心部に位置しています。ロンドンからはオックスフォード駅まで直通列車で約1時間、長距離バスで約1時間半〜2時間とアクセスが良く、日帰りでロンドンへ行くことも可能です。
オックスフォード大学は、日本の大学のように一つの広大なキャンパスに校舎が集まっているわけではなく、カレッジや学部、図書館、研究施設が街全体に点在しています。そのため、街を歩くだけで大学の建物や学生の姿を目にすることができ、「学園都市」と呼ばれる独特の雰囲気を味わえます。
大学周辺にはショップやレストラン、カフェ、スーパーなども充実しており、日常生活に必要なものは徒歩圏内で揃います。また、市内には歴史的な建造物や博物館、公園も多く、勉強だけでなく文化や自然も身近に感じながら学生生活を送れる環境です。
オックスフォード大学の世界ランキング
ここでご紹介するのは、世界的に広く利用されているTimes Higher Education(THE)とQS World University Rankings(QS)の大学ランキングです。
Times Higher Educationの世界大学ランキングでは2017年から10年連続で1位に選ばれています。
QS World University Rankingsでは、2026年発表のランキングで4位を獲得しました。また、2024年・2023年発表では3位、2021年発表では2位にランクインしています。
教育の特徴
オックスフォード大学では、学部・学科による講義に加えて、少人数制の「Tutorial(チュートリアル)」が教育の大きな特徴となっています。チュートリアルは、教員1名に対して学生1〜3名程度で行われる個別指導に近い形式で、事前に準備したエッセイや問題演習をもとに議論を重ねながら理解を深めていきます。
一方的に講義を受けるのではなく、自分の考えを論理的に説明し、教員から直接フィードバックを受けることで、物事を深く分析する力を養います。学生は教員からの質問を通じて多角的な視点を身につけ、必要に応じて自分の考えを修正しながら学びを深めていきます。このような対話を重視した学習を繰り返すことで、専門知識だけでなく、論理的思考力やコミュニケーション能力、問題解決力も培われます。
また、チュートリアルを担当するTutor(チューター)は、学問面で学生を指導するだけでなく、所属カレッジにおける学生生活のサポート役も担っています。学習上の悩みや進路に関する相談などにも対応し、学生一人ひとりの成長を支える重要な存在です。
オックスフォード大学の学部と特徴
オックスフォード大学では、学問領域を大きく4つのDivision(ディビジョン)に分けて編成しています。各Divisionには複数のFaculty(学部)や研究分野が含まれており、幅広い分野で教育・研究が行われています。オックスフォード大学は歴史的に人文・社会科学系が強いとされ、対するケンブリッジ大学は理系分野に強いというイメージが定着しています。ただし近年は、オックスフォード大学も理系分野でランキング上位を獲得するなど、存在感が高まっています。
分野別世界ランキングの順位
オックスフォード大学は、人文学から医学、科学、社会科学まで、幅広い分野で世界トップクラスの評価を得ています。文系のイメージが強い一方、コンピュータサイエンスや医学など理系分野でも世界1位を獲得しており、理系分野の強さも際立っています。以下では、分野別ランキングにおける順位をご紹介します。
| 分野 | Times Higher Educationの順位 |
| Computer Science(コンピュータサイエンス) | 1位 |
| Medical and Health(医療・健康科学) | 1位 |
| Engineering(工学) | 2位 |
| Social Sciences(社会科学) | 2位 |
| Education Studies(教育学) | 3位 |
| Arts & Humanities(人文学) | 4位 |
| Business and Economics(ビジネス・経済学) | 4位 |
| Law(法学) | 5位 |
| Life Sciences(生命科学) | 5位 |
| Physical Sciences(物理科学) | 8位 |
| 分野 | QS大学ランキングの順位 |
| Arts & Humanities(人文学) | 1位 |
| Life Sciences & Medicine(生命科学・医学) | 2位 |
| Social Sciences & Management(社会科学・経営学) | 2位 |
| Natural Sciences(自然科学) | 3位 |
| Engineering & Technology(工学・技術) | 4位 |
オックスフォード大学を代表するPPEとは?
PPE(Philosophy, Politics and Economics)は、哲学・政治学・経済学の3分野を横断的に学ぶ、オックスフォード大学を代表する学位プログラムです。哲学では論理的思考力や批判的分析力を、政治学では政治制度や社会の仕組みを読み解く力を、そして経済学では資源配分や政府・企業の意思決定を分析する力を養います。こうして身につけた幅広い知識と分析力は、政策、金融、コンサルティング、ビジネスなど、さまざまな分野で活かされています。
PPEはこれまで、政治、ビジネス、ジャーナリズムをはじめ、多方面で活躍する人材を数多く輩出してきたプログラムでもあります。卒業生には、元英国首相のデイヴィッド・キャメロン氏、元労働党党首のエド・ミリバンド氏、元パキスタン首相のベナジル・ブット氏など、世界各国で活躍してきた顔ぶれが並びます。
オックスフォード大学のPPEならではの特徴は、自身の関心や将来の進路に合わせて、学習内容を柔軟に選べる点にあります。1年次を終えた段階で、3分野すべてを引き続き学ぶか、2分野に絞って専門性を深めるかを選択できる仕組みです。
人文学 (Humanities Division)
オックスフォード大学のHumanities Divisionは、英文学、歴史学、哲学、言語学など幅広い分野を扱う、世界有数の人文学研究拠点です。
前述のPPEもこのHumanities Divisionに属する代表的な学位プログラムの一つです。1920年にオックスフォード大学で世界初のPPE課程として設立され、2020年には開設100周年を迎えました。現在では世界各国の大学で提供されていますが、その発祥はオックスフォード大学であり、同大学を象徴する歴史あるプログラムとして知られています。
- アジア・中東研究
- 古典学
- 英語言語・文学
- 歴史学
- 美術
- 美術史学
- 言語学・文献学・音声学
- 中世・近代言語学
- 音楽学
- 哲学
- 神学・宗教学
- AI倫理
- アメリカ研究
- 現代奴隷制・人権政策
数学・物理・生命科学 (Mathematical, Physical and Life Sciences Division)
オックスフォード大学では、数学・物理・生命科学分野を扱う学術部門をMPLSと呼んでいます。MPLSでは、気候変動の解明や新たなエネルギー技術の開発など、現代社会が直面する重要な課題に取り組んでいます。また、オックスフォード大学が所有・管理するサイエンスパークを活用し、産業界との連携による研究成果の実用化も進めています。
- コンピュータサイエンス
- 物理学
- 生物学
- 地球科学
- 材料科学
- 統計学
- 化学
- 工学
- 数学
医学 (Medical Sciences Division)
オックスフォード大学の医学領域は、医学・生物医学研究を中心とする世界有数の研究部門です。16の学科・研究部門を擁し、がん研究、神経科学、感染症、遺伝性疾患、人口健康など幅広い分野で研究を行っています。基礎研究から臨床応用まで一貫した研究体制を整え、医療の発展や社会課題の解決に貢献しています。
- 生化学
- 実験心理学
- 整形外科・リウマチ学・筋骨格科学
- 薬理学
- プライマリケア健康科学
- 女性・生殖健康
- 臨床医学
- 医学
- 小児科学
- 生理学・解剖学・遺伝学
- 精神医学
- 臨床神経科学
- 腫瘍学
- 人口健康学
- 外科学
- 病理学
社会科学 (Social Sciences Division)
世界最大級の社会科学研究拠点の一つであり、1,000人以上の研究者と5,000人以上の学生が所属しています。移民、国際開発、貧困、グローバルガバナンスなど、現代社会が直面するさまざまな課題について幅広い研究を行っており、その成果は政策立案やビジネス分野における意思決定にも活用されています。
- 人類学・博物館民族誌学
- 考古学
- 経営学
- 経済学
- 教育学
- 地理学・環境学
- グローバル・エリア研究
- 公共政策
- 国際開発学
- インターネット研究
- 法学
- 政治学・国際関係学
- 社会政策・社会介入研究
オックスフォード大学のカレッジ制とは?
オックスフォード大学は、39のカレッジで構成される、世界を代表するカレッジ制大学です。中世から続くカレッジシステムを現在まで受け継いでおり、それぞれのカレッジが独自のコミュニティを形成しています。カレッジには学生寮や食堂、図書館などの施設が整い、学生は学部・学科で専門分野を学ぶ一方、日常生活や学生サポートは所属するカレッジを中心に行われます。
多くの教員は各カレッジにも所属しており、少人数教育(チュートリアル)を担当するほか、カレッジコミュニティの一員として学生生活を支えています。有名なカレッジの一つにChrist Church(クライスト・チャーチ)があり、その食堂は映画ハリー・ポッターシリーズの大広間のモデルとしても知られています。

カレッジはどう選ぶ?
学部入試では各カレッジが入学選考を担当するため、出願前にカレッジの特色や立地、教育環境などを調べておくことが大切です。カレッジを選ぶ際には、学びたい分野の教員が所属しているかに加え、学生寮の提供状況や通学のしやすさ、大学施設やオックスフォード中心部へのアクセスなども比較するとよいでしょう。
また、カレッジごとに学生数や雰囲気、スポーツ・音楽などの課外活動、学生サポート体制にも違いがあります。数年間を過ごす生活の拠点となるため、学習環境だけでなく、自分に合った学生生活を送れるかという視点で選ぶことも重要です。
オックスフォード大学に入学するための条件と難易度
英国大学への出願ポータルであるUCASから出願をします。イギリスでは統一試験の成績によって合否が決まるので、大学ごとの受験はありません。ただ、オックスフォード大学とケンブリッジ大学のみ独自の入学試験を受ける必要があります。また、面接も実施されない大学がほとんどですが、オックスフォード大学含むトップ数校では面接が行われます。
日本の高校生がオックスフォード大学を目指すには?
イギリスの多くの大学では、日本の高校卒業後にファウンデーションコース(大学進学準備課程)を経由して進学するルートが一般的ですが、オックスフォード大学ではファウンデーションコースを通常の入学資格として認めていません。そのため、日本の高校生がオックスフォード大学を目指す場合は、A-levelやIB(国際バカロレア)など、英国の大学入学資格として認められる海外カリキュラムを履修しておく必要があります。
また、成績要件だけでなく、科目ごとの高い学力、推薦状、志望理由書、面接など、複数の要素を含む厳格な選考が行われます。早い段階から必要な科目選択や英語力の準備を進めることが大切です。
Admissions Test(入学適性試験)
オックスフォード大学では、コースによってAdmissions Test(入学適性試験)を受けます。これは、志願者の学力や論理的思考力、選択した分野への適性を評価するための試験で、A-levelやIBなどの成績、推薦状、面接などと合わせて選考材料として利用されます。必要な試験の種類は志望コースによって異なります。
主な試験の種類:
⚫︎ESAT (Engineering and Science Admissions Test)→ 工学・科学系コース向け
⚫︎TARA (Test of Academic Reasoning for Admissions)→ 一部の人文・社会科学系コースなど向け
⚫︎TMUA (Test of Mathematics for University Admission)→ 数学系コース向け
⚫︎LNAT (National Admissions Test for Law)→ 法学系コース向け
⚫︎UCAT (University Clinical Aptitude Test)→ 医学系コース向け
出典: University of Oxford Admissions tests
英語力・IELTS要件
留学生は英語力の証明としてIELTSなどの英語試験スコアの提出が必要です。オックスフォード大学の英語要件はコースによって異なりますが、一般的にはIELTSで7.0〜7.5以上が求められます。さらに、各セクションにも最低スコアが設定されています。
オックスフォード大学の学費・奨学金
年間の学費
2026/27年度のオックスフォード大学の年間授業料は、海外留学生の場合、専攻により£37,380(約748万円)〜£62,820(約1,256万円)です。なお、Clinical Medicine(医学)は通常のコースより高額な授業料が設定されています。※1ポンド=200円で計算
出典: University of Oxford Course Fees
奨学金
日本人留学生が利用できる奨学金には、オックスフォード大学が提供する奨学金制度のほか、日本国内の財団が提供する海外大学進学向けの奨学金があります。なお、オックスフォード大学の学部課程では留学生向け奨学金の数は限られているため、日本から進学する学生の場合は外部財団の奨学金も重要な選択肢となります。
近年では、柳井正財団や笹川平和財団など、海外大学への進学を支援する制度が広がっており、経済的な負担を抑えながら海外の名門大学を目指す人への後押しとなっています。
まとめ: オックスフォード大学で学ぶ魅力とは?

オックスフォード大学は、900年以上の歴史を誇りながら、今なお世界をリードする研究と教育を続ける名門大学です。世界トップレベルの研究環境はもちろん、カレッジ制度による密度の高いコミュニティ、そしてチュートリアルに代表される少人数制教育など、他に類を見ない独自の学びの場が広がっています。
さらに、PPEをはじめとする学際的なプログラムから、医学・科学・社会科学・人文学に至るまで、幅広い分野で世界最高水準の研究が行われています。世界トップクラスの難関大学であるオックスフォード大学への進学を目指す場合は、早い段階から必要な学力や英語力を身につけ、志望分野への理解を深めながら、計画的に準備を進めていきましょう。
オックスフォード大学の公式ウェブサイト:







