ロンドン大学医学部のリアル – 日々の勉強/サークル/進路【英国大学進学】

Tetsuroです。
イギリスのロンドン大学クイーンメアリーという大学に通って医学を勉強しています。今は1年生で、まだ4年間残っているので頑張りたいと思っています。よろしくお願いします。
*インタビュー時、2024年8月

この記事は【後編】です。記事の最後に前編のリンクを貼っているので是非一緒にご覧ください!
ロンドン医学部の生活: 講義/ラボ/試験
大学でのスケジュール
1年生の時はレクチャー(講義)が大体毎日あって、週に2、3回はレクチャーが連なっていました。1つのレクチャーが1時間から2時間ぐらいで、それが3つある日だったり、4つある日、5つあってすごい長い日があったり、全然ない日もありました。全然ない日はラボ(実験)があったり、GP(一般医での研修)を1日手伝ったり、アナトミーをDissection(解剖)としてやったりしました。
レクチャーはLecture theatre(講堂)に行くかオンラインで見れて、最初の方は講堂に行っていたんですけど、半分くらいからはオンラインでやり始めました。オンラインだと、止めたり早送りができるのですごく便利だし、ノートを取りやすくてもうちょっと頭に入りやすいと思います。そこは人の好みによって違ってきますね。

私が通っていたインペリアルカレッジロンドンでは、レクチャーは基本行くものだったので、たまに抜き打ちで学生証をスキャンして出席を取っていました。
私はレクチャーに行っても集中できないタイプで、レコーディングを見ていました。1.5とか1.75倍速で見れるからそっちのほうが効率がいいし、ノートも取れるからそうしていました。
クイーンメアリーは出席は取られないんですか?
取られる大学も多いんですけど、僕はラッキーで取られなかったです。1つも行かなくていいし、あとでレコーディングを見返せるからオンラインも見なくて良いって感じです。
僕の友達がUCLの医学部に行っていて、その子は絶対に学生証をスキャンしないといけないです。でも結構聞くのは、友達に代わりにやってもらったり、講義の最初だけ行ってすぐ抜けたりするとかも多いので、意味はないのかなと思います。やっぱりオンラインでやりやすい人はオンラインでやった方が絶対良いし、自分の一番やりやすい方でやるのが良いですよね。

私もBiomedical Sciences(生物医学科)だったので、若干Medicine(医学科)と被ってるところはあったんですよね。1年目は一緒のレクチャーがいっぱいあって、2時間とか3時間の長いレクチャーが多かった印象です。
1年生の最初の方で、あるレクチャー終わりにMedicineの人だけこれからペアになって採血の練習をするって言われていて、こんなに早くからやるんだ!と驚いたのを覚えています。
ラボ – 解剖学と生理学
ラボはAnatomy(解剖学)とPhysiology(生理学)があります。Anatomyでは解剖済みのCadavar(人体)が置いてあるステーションがあって、腕のこと習う週だったら、最初は筋肉のステーション、そのあとNerve(神経)、そのあとLocomotion(動き方)というふうにステーションを移動しながら見ていきます。
そのあとによくペアでやるのがPhysiology(生理学)で、小さいExperiment(実験)をします。それはサボる人が多いんですけど、個人的にはそこで渡されるワークシートはすごく読みやすいので、勉強の助けになりました。実験のあとはラボレポートも書かないので、思っていたよりも勉強は少なかったなと感じますね。
医学部の試験とグループプロジェクト
筆記試験は1年の最後にPaper BとPaper Cというのがあって、1年中の習ったものがそこでテストされるのでそれが一番難しいです。あとは、小さいグループアクティビティでグレード(成績)をもらったり、プレゼンテーションをやったり、Paper(論文)を書いたりもします。グループのはみんなと一緒にやればいいので1人ずつは楽で、論文はやるだけなのでそれも楽でした。
A-levelの時みたいに、今年も最初の方は勉強していなくて、Paper BとPaper Cの直前であ、やばいと思って勉強し始めて、無事合格できました。医学部は合格か失格しかなくて、特にいい点数を取れるかは関係ないので、1年生の試験が通れば進級できます。高校で言われていたのは「医学部は勉強量がすごく多いから本当にやりたい子たちだけが行け」でしたが、実際はそういう感じでもなかったです。
Paper Bは長めで、180問のMultiple choice(選択式問題)です。5つの選択肢の中から選ぶ感じで、Pass(合格)の点が50点ぐらいなんですけど、それでも今年は4分の1が失格だったんです。400何人の中で100何人が落ちて、今頃(夏休み中)再試験を受けていると思います。4分の1が落ちるって聞いた時には焦りましたね笑
Paper Cは楽な方で、Anatomy(解剖学)が多いです。写真が出てこの筋肉は何ですか?って聞かれて書いたり、Multiple choice(選択式問題)があったりして、学年の5%ぐらいしか落ちなかったです。
大学での勉強の特徴
大学の1年目と高校で一番違うのはやっぱり、Lecturer(講師)とか先生から勉強しろと言われないので、自分からやらないといけないところです。高校では、1年間ずっと何個かMock test(模擬試験)があるので、それが返ってきて悪い点数だったら勉強しようってなります。でも大学では誰も手伝ってくれないので、落ちるなら本当に落ちるっていう感じで、落ちないように頑張れよとかそんなに言われないです。
だから本当に友達に頼りましたね。友達にどのぐらいやってるいるのか聞いて、これをやってるよと言われたら僕も頑張らなくちゃなってなりました。友達がこんな復習の仕方をやっていたら僕も同じことをやってみて、できたら続けて、嫌だったら違う方法を試してみるっていうのが多かったですね。

インペリアルだけか分からないですけど、Biomedical Sciences(生物医学科)は試験は全部エッセイで、バイオ系のコースはみんなそうだと思います。課題はラボレポートとエッセイで、試験も全部エッセイだからほぼ書くだけで、Multiple choice(選択式問題)はゼロでした。
イギリスの大学の評価は1st(70%以上), 2nd(50-69%), 3rd(40-49%)となっていて、レクチャーのことを全部分かっていて試験でアウトプットしても2nd(50-69%)までしか取れないんです。1st(70%以上)を取るためにはOutside reading*をしなきゃいけないので、自分で勉強しないといけない部分が多いです。
エッセイはあんまりないんですか?
今年は1つしかなかったです。他のコースはそういうコースワークが多いですけど、医学部は少なかったです。2年からは多くなるかもしれないけど、1年は他に比べたら少なかったなと思いますね。
違う専攻の友達からもMultiple choice(選択式問題)なら楽じゃんって言われるんですけど、合格ラインが50%で4分の1が落ちるって聞いたら難しいなって思ってしまします。
コースワークが少なかったのも、やることがすごい多かったからだと思います。A-levelで1週間分かけるものを2時間でやるという感じで、すごくペースが早いレクチャーだったので、コースワークを少なくして習ったことを全部覚えろっていうことだったのかな。だから暇だったのかなって思いますね。
デッドラインがあるからやらなくちゃというよりも、最後の試験のために頑張ろうっていう感じでした。大学側からこうやれはないけど、結局自分で勉強するみたいなところは高校までとは違って、その調整が難しかったです。
*Outside reading=文献や論文を読むこと
イギリスの大学でのサークル活動
クリケットサークル
僕はクリケットのSociety(サークル)に入っています。去年1年間やってすごく楽しくて、来年からVice captain(副キャプテン)として選ばれたので、それはもう嬉しかったです。大学のSocietyって、すごいスポーツを真面目にやっている人もいれば、友達がいて楽しいからやっている人もいて、スポーツをやりやすい環境だなと思います。

クリケットは高校でもやっていたんですか?
はい、やっていました。日本で野球をやっていて、イギリスは野球が全然ないのでこっちに来てからは一番近かったのがクリケットで、それでやり始めました。
あとは、ちゃんとアカデミックなSocietyは2年生から入りたいなと思っています。僕の友達が去年から入っていた’Plastics’っていうのが良かったらしいです。Plastic surgery(整形外科)とかSurgery society(外科)、Pediatrician society(小児科)みたいにSpecificな(特化した)ものもあったりします。
そういうのはコネクションを作るために重要で、医学部は5年間もあって、1年目から何やりたいかを知っている人は本当に少ないので、2年目とかはそういうSocietyに入るのが重要なんですね。コンフェレンスにも行かないといけないので。

Shunichiroさんというインペリアルカレッジロンドンの方はBaseball society(野球サークル)入っているって聞いて、イギリスにもあるんだ!っていう感じでした笑
結構いろんなSocietyがあると思います。アメリカンフットボールとか、えっこんなのあるんだというのもありますね。でも、そういうSocietyは人数も少なかったりして、試合も少なかったりします。クリケットはインド系の人がすごく好きで、クーンメアリーがあるイーストロンドンってそういう人が多いから、クリケットは結構大きいんです。ロンドンの医学部のリーグがあって、それもコンペティティブで楽しいですね。
医学部 vs 他学部

Japanese Society(日本人会)はありますか?Tetsuroさんはでも入ってないですかね?
聞いたことはあるんですけど、入っていませんね。日本人は同じ学年の医学部に僕ともう1人しかいないです。
クイーンメアリーの医学部と他の学部がすごい分かれているんですよね。医学部はSt Bartholomew’s Hospitalっていって、自分のことを’Barts’って呼んでいるんです。クイーンメアリーと一緒にするなって感じで上からの目線がすごく大きいです笑
年に1回、スポーツのSocietyで’Barts’対’Queen Mary’で対戦します。やっぱりクイーンメアリーの方が人が全然多いんですけど、それでも同点とかあったり、今年はBartsが勝ったと思います。だから、クイーンメアリーの医学部の方はJapanese societyがなくて、クイーンメアリーの方にあるのかなと思うんですけど、特にクイーンメアリーの方は入りたいとは思っていないですね。

インペリアルも、School of Medicine(医学部)だけ独立でたくさんSocietyがありました。そもそもMedicine(医学科)だけで何100人いますからね。イベントもたくさんやっていた気がします。
私の時はインペリアルのMedicine(医学科)は300人だったので、クイーンメアリーの400人はもっと多いですね。
聞いたのは、僕の2年前の年に生徒を取り過ぎたので、1年と2年の試験でいっぱい人を落として大学から蹴り出していたということがあったそうです。それは本当に酷かったので、僕はその年じゃなくて良かったなって思います。
あと聞いたのが、上の先輩から聞いたので本当だと思うんですけど、大学5年生の最後の試験で失格の生徒がいたら大学が罰金されるんですよね。だから、頭のいい生徒しか通したくないんですよ、罰金で損しちゃうので。5年生まで行って落ちたらとにかくサポートが多くて、Resit(再試験)を一応もう1回できるのでそこのサポートがすごく大きいんですよね。
卒業後の進路

卒業後もずっとイギリスにいる予定ですか?
お母さんは日本でバイリンガルの医者としてやってほしいみたいです。イギリスの医師免許だったら、半年ぐらいの試験で日本の免許も取れるんです。そこはまだ全然決まってないですね。
あとオーストラリアに行く人も多いですね。やっぱりイギリスでは大学はとにかくNHS(National Health Service)に行ってほしくて、そのために生徒を育てています。なので、インタビューではNHSで働きたいって言うのが普通なんですけど、もっとお金が入ってくるのでみんなはPrivatise(開業)したがっています。
まず5年間全部合格してから決めることですね。
イギリス医学部を目指す人へのメッセージ
イギリスの医学部に入りたい人は、とにかくやらないといけないことを早くやって、遅れないように頑張ってください。ちゃんと友達とかにも聞いたり、親にも手伝ってもらったりしてリサーチをして、ちゃんとやることをやってください。
勉強は、とにかくすれば大丈夫です。Work experience(職業体験)とかボランティアは自分で責任を持ってやらないといけないので、そういうところは頑張ってください!
これからのTetsuroさんの更なる活躍が楽しみです!
Tetsuroさんはモアエデュケーションの講師も務めていただいているので、オンライン家庭教師にご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
前編はこちらから – 「GCSEとA-level」「イギリス医学部受験」「インタビュー(面接)対策」「A-level試験対策」について話しています!
この記事のもとになっている対談はこちらからご覧いただけます!
イギリスの大学出願について解説している動画:
University of London, Queen Mary 公式サイト:
