【イギリス留学経験談】キングスカレッジロンドン卒業生が語る就活事情と大学生活
ちょうど先日イギリスにあるキングスカレッジロンドンという大学を卒業しました、Soと言います。
学部はPPE(哲学・政治学・経済学)に行っていました。本日はよろしくお願いします。
イギリスの大学生活のことや、モアエデュケーションでIELTSの講師も務めていただいているので、英語勉強のコツなどを教えてもらいます!
この記事は【後編】です。記事の最後に前編のリンクを貼っているので是非一緒にご覧ください!
大学の授業スケジュールとボート部の活動
大学での1週間のスケジュール
ボート部という部活に入っていて、それがすごく忙しかったです。週9回練習があったので、朝4時か5時くらいから練習に行って、その後に大学の授業に行っていました。大学の授業は朝から晩までというわけではなく、数コマで終わることが多いので、そこから大学の図書館に行って、夕方ぐらいまで勉強して家に帰るという生活でした。
授業は週に大体4回ぐらいで、数も2コマくらいしか入ってないので、フリーの時間は多かったです。その代わりに課題がたくさんあるので、隙間時間にそれをやったり部活に行ったりという感じでした。
PPEの勉強について
PPEでは、初年度はPolitics(政治)、Philosophy(哲学)、Economics(経済学)を3等分やるという比率で、それぞれエッセイとディスカッションなどがありました。Economics(経済学)ではMaths(数学)の授業やプログラミングもありました。
3年生に上がっていくにつれて、他の大学ではドロップと言ったりするらしいのですが、だんだん自分の興味を絞っていきます。最初3等分だったのが、2年目ではちょっと専門的になっていきます。
授業がたくさんある中から選ぶのですが、Political Economy(政治経済学)に寄りたいならそっちの方で授業を多く取るみたいな感じで。僕はだんだん進むうちにPhilosophy(哲学)の方に興味が向いてきたので、それに絞っていきました。
リベラルアーツとガチガチのイギリスの専門科目の中間みたいな感じだと思います。1年目は完全に必修が決まっていて、2年目は3割から半分くらいは決まっていたけどデザインできて、3年目は完全にデザインできました。そのバランスが自分の中で良かったのかな思います。
授業の取り方は日本やアメリカに近いかもしれないですね!
イギリスの大学では選択科目はなく、必修科目がメインの学部がほとんどというイメージです。そのようにデザインできるというのは他の学部と比べて特殊なのかなと思います。
私が通っていたインペリアルカレッジロンドンのBiomedical Sciencesでは、1、2年目は必須科目のみで、3年目から完全に専門の領域に分かれます。その専門領域は、1、2年目でやったモジュール*の中から自分が1番興味あるものを選んで、そのことだけをその1年間やるという流れでした。
理系の学部で多いパターンだと思いますが、私の専攻の場合は、3年生の2月から6月はラボ(研究室)にこもって最後の研究課題をしていました。
PPEでは、1番最後の卒論にあたる研究は何をするんですか?
僕たちは本当に自由で、卒論を書かなくてもいいんですよね。テストがあって終わりだったので、結構ゆるい感じでした。
PPEは文系のコースなのでラボはなくて、レクチャーとセミナーがあります。レクチャーは大人数の講義で、オンラインでも見れます。セミナーは日本で言うゼミのようなもので、3人から5人でディスカッションをします。大体1つの講義につき1つのセミナーがついてるという形なので、セミナーで深掘って、また何かあれば1対1で教授と話すという授業構成でした。
日本の大学と違うなと思うのは、イギリスはどちらかというと個人で動いていますが、日本はゼミに所属しているというのが強いところです。
そうですよね。日本はゼミ単位で動いているイメージがあります。
また、東大などの国内トップ大学の人の話を聞くと、みんな研究室に0時くらいまでいたりして大変みたいです。授業も毎日1限目からあって、すごく時間を占領されている印象です。
欧米の大学の方がフリータイムが多いです。でもそこで自習をせずに遊んでしまうと、試験が難しいので卒業が難しくなります。自由度が高い分、自分で計画して進めないといけないというのは大きな違いですね。
*モジュール=勉強する分野の単位
部活/Society/インターンシップ
ボート部の活動
高校の時はラグビー部だったのですが、腰をちょっと痛めてしまっていて。スポーツが好きなので、それは軸としやりたいなって思っていました。ある程度ラグビーと同じようにコンペティティブなチームスポーツで、イギリスの文化を学べるのってなんだろうって思った時に、直感的にすごくボートに興味を持って入りました。
日本にいる時はボート競技は見たこともなくて、動画を見ると動かしてるのは手だけなので時に楽そうに見えたのですが、間違っていました笑 軽い気持ちで始めたのですが、結構きつかったです。
イギリスは川が多く、競技としてローイングが盛んです。テレビでもレースが中継されるほどメジャーなスポーツです。
私がボーディングスクールに通っていた時も、学校の裏にRiver Severnsていう川があって、そこでローイングが行われていました。高校に入ったら必修でみんな1回はやるスポーツなので、私も経験しました。
ボートハウスにボートが保管されていて、その中にジムも完備されていました。そのジムはローイングマシンがメインで、確かにきつかった記憶があります笑
ロンドンでボート漕ぐとなったらどこ行くんですか?
テムズ川です。Kew Gardensの方に行っていました。朝練もそこに行って、1時間くらいかけて大学に戻っていました。しかも、時々ストライキがあるので地下鉄が使えなくて、バスで遠回りして帰ってくる時もあったので大変でした笑
Society(サークル活動)
2年目からはJapan SocietyでComittee(委員)をしていました。日本に興味がある外国人に日本語の授業行ったり、日本食の寿司イベントを開催したりするサークルです。
ロンドンの大学では大学内のJapan Societyの他に、ULJS(University of London Japan Society)という複数の大学が集まっているものもあります。
UCL、KCL、インペリアルなどの大学が入っていて、ボートパーティーやハロウィンパーティーといったイベントを合同で開催しています。
これができるのはロンドンならではの楽しみだと思います。
合同イベントは楽しかったですね。
他にも所属はしていないのですがフォローをしているところのイベントに行くことはありました。僕は映画が好きなので、Film societyとかCooking Societyに入っていました。
最初の友達を作る時にちょこちょこそういうのは行っていましたね。Fresher’s weekといって、1年の初めに新入生歓迎会みたいなことも行われていました。
留学支援のインターンシップ
留学フェローシップというのは、海外大学に興味がある日本の高校生向けに出願のエッセイの書き方を教えたり、キャンプで現役大学生と交流したりする活動です。
僕が参加したのは、長野県の温泉宿を借りて1週間ぐらいやったサマーキャンプです。高校生と将来何をやりたいのか話したり、大学での授業の話をしたりしました。
似ている団体はいくつかありますよね。例えばHLABという団体も、サマーキャンプを開催して、夏休みに高校生が先輩と交流できる機会を提供しています。
留学に行く前だと現地のリアルな情報をなかなか得られないので、とても良い活動だと思います。東京だとまだしも、地方だとさらに情報が入って来ないので、このような機会を活用するのも良いですね。
KCLのキャンパスと住まい事情
ロンドンに点在するキャンパス
KCLはキャンパスが街の中に散らばっていて、1つのまとまったキャンパスがあるわけではないです。
メインキャンパスはStrand Campusといって、Holborn(ホルボルン)駅の近くにあります。そこにはDickson Poon School of Lawという法律の学校がついていて、主に文系のコースが入っています。理系はちょっと離れたLondon Bridgeという駅に学校があり、Waterlooにもキャンパスがあります。
Oxbridge*みたいに、街全体に大学の建物が散らばっている感じです。
*Oxbridge=オックスフォード大学とケンブリッジ大学
ロンドンの大学生の住まい
初年度、ファウンデーションの時は寮に住んで、そこの友達と2年目の大学1年生からフラット(アパートメント)を借りてフラットシェアしていました。
寮は一人部屋でバスルームが付いていて、10人くらいの単位でキッチンとリビングルームをシェアする形です。部屋はほぼ寝るだけみたいな感じで、普段はみんなリビングルームに行って雑談したり、料理したりしていました。
2年目になると寮には新しい人が来て、そこでのリスクとしては水回りなどのところで価値観が合わない人だったり、性格が合わないくて上手くいかないことがあるのを聞いていました。それよりかは仲が良い人たちとフラットシェアをした方が良いですし、そうしたほうが値段が安かったので、家を借ることにしました。
寮の友達とはたまたまが仲良かったので、4人で一緒に住みました。4つベッドルームがあって、ガーデンもついているフラットでした。
食生活について
食事に関しては自分で自炊していました。最初は日本食を作っていたのですが、難しいことが判明して後からパスタやパンになって、最後は和食と洋食半々でした。
部活をやってたので時間がなくて、マネージャーもいなかったので栄養管理も自分でしなくてはいけなくて。日曜日に毎回大量に食材を買ってきて、大量に作って冷凍保存するという、限界主婦みたいな生活をしていました笑
講師から見た英語学習のコツとは
英語指導で心がけていること
Soさんはモアエデュケーションの講師として、IELTSの指導もしていただいています。
生徒さんにはなるべく経歴の近い先生をつけていて、Soさんの生徒さんも同じく高校を卒業してからイギリスに留学されるという方です。その方はファウンデーションコース経由ではなく、A-levelを2年間勉強してから大学に入学するルートなのですが、高校3年生まで日本の学校に通うという点でSoさんは親近感のある先輩にあたります。
指導にあたって心がけてることを、今までの指導経験をもとに教えてください。
僕は4年間くらい英語の教師経験があり、授業では2つのことを心がけています。
まず1つ目は、ライティングを重点的に行なうようにしています。他の4技能と比べてライティングは単語力だけではなく、論理的思考や文章構成能力もわかります。アカデミックライティングでは文章をどういう風に配置するのかが大事になってくるので、まずは文章を書かせて生徒さんの能力を見ます。
2つ目は、ライティングをやった上でもやっぱり生徒さん1人1人で特性が違うので、その見極めです。例えばスピーキングが好きで、どんどんコミュニケーション取っていきたい人もいれば、どちらかというと授業より暗記の方が得意で、出された課題をやりたいという人もいます。単語帳を見たり、YouTubeやBBC見て勉強していくのが得意な人もいるので、生徒さんによって指導スタイルを変えるようにしてます。
生徒さんに合わせた指導が一番効果的というところで、モアエデュケーションでは個別指導を採用しています。
担当いただいている生徒さんからは、Soさんの指導が始まってからすぐ自信が付いたというお声をいただきました。何回か受けているIELTSの結果も毎回良くなってきているので、A-levelの予習もあわせて行なっていく予定です。
英語学習のアドバイス
僕は日本の高校だったので、英語の準備はしっかりして行きました。
その経験から言うと、ブレイクスルーみたいな、すぐこれをやったから伸びるというのはダイエットと同じでないです。やっぱりその中でどれだけ継続できるか、やる気を保って繰り返すことができるというのは大事だと思います。
自分もそうですし、今あるサービスも利用しながら、継続して繰り返していくという2つを、地道ですがコツコツやることが1番の近道かなと思います。
海外大学生の就活事情とキャリアプラン
就活の体験談
就職に関しては正直な話をすると、部活もあって1年間就活に専念というようなことはできませんでした。なので、日本の学生みたいに何10社訪問して面接や説明会に行きまくるというよりは、学校にある機会を使いました。
イギリス現地の企業への応募は、KCLにあるポータルを利用していました。結局日本で仕事をすることになったのですが、その会社とはオンキャンパスリクルーティングで出会いました。
オンキャンパスリクルーティングは、大学に企業が来て採用活動をするものです。大学が主催しているものはイギリス現地の企業しか来ないのですが、Japan Societyが誘致しているものには日本の企業が来ます。海外進出や駐在をする、英語を使う機会がある会社がメインです。
他にもロンドンキャリアフォーラムといって、イギリスに日本の会社が来て説明会をしてくれるというのもあります。そういう元からある機会を利用して、就活を行いました。
2年生の終わりに就活イベントがあって、その時にたまたまお話を聞いた企業がいいなと思って、そのまま面接に進んで内定をいただきました。何社か内定をいただいたのですが、最終的に決めたのは外資系のコンサルティング会社です。
私の時も同じようにキャンパスでの説明会とキャリアフォーラムがありました。
Japan Societyを通じた採用は、当時はFacebookグループ内で告知されていました。PwCなどの外資系企業が来て、ディナーやテストが行われていました。
私の前後の代はほとんどロンドンキャリアフォーラムではなく、ボストンキャリアフォーラムに行っていました。キャリアフォーラムの中ではボストンが規模が一番大きいため、わざわざ大学を4日間くらい休んで行ったのを覚えています。
私はそこで内定もらったのですが、正規留学を日本人は優遇される傾向があるので、海外大学生の方は有利です。
就活のスタイルとしても、日本のように形式ばっておらず、比較的自由に進めることができます。
そうですね。倍率がすごく高いわけでもなく、本当にもう就活大変、という感じではなかったです。
将来のビジョン
10月に就職しますが、その後どこかタイミングで大学院に行きたいと思っています。サバティカルという1年の休みが取れるので、そこでヨーロッパに戻ってHistory of Art(美術史)を学びたいと今は思っています。
大学の研究テーマが美術史に近くて、Philosophy of Aesthetics(美学哲学)という分野でした。そこから少し興味を持ち始めて、そのあたりのビジネスにも興味があります。
メッセージ: 留学を成功に導くには
今、主に学部留学を考えてる人たちにとって、留学はすごく大きなものだと思いますが、そこでの学びはたくさんあります。
学部の中でのアカデミックの学びだけではなくて、そこで直面する生活や、逆に色々できないこともあって挫折することもあると思います。そういうのも含めて主体的に、本当にやりたいことは何なんだろうというのを常に自分に問いかけながらやっていくことは、すごく力になると思います。
もし留学をしないことになったとしても、常に本当にやりたいことは何だろうというのを自分に問いかけながら、前に進んでいって欲しいです。
前編はこちらから – 「留学のきっかけ」「英語力を上げるためにやったこと」「高校時代の活動」「ファウンデーションコースと大学出願の流れ」「KCLを選んだ理由」について話しています!
この記事のもとになっている対談はこちらからご覧いただけます!
ファウンデーションコースからのイギリスの大学出願について解説している動画:
King’s College London 公式サイト:
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